水の過不足は 植物に深刻な 脅威をもたらします。正常な状態では、植物が 吸収した水の大部分は 葉や他の植物の 部位から蒸発します。このプロセスを蒸散と呼びます。干ばつのストレスは、土壌から吸収する 水の量よりも 蒸散で失う 水の量が多くなるため、植物を弱らせます。植物は干ばつ ストレスに応答して アブシジン酸を生成し、葉の中に放出します。このホルモンによって 気孔が閉じ、蒸散で水が 失われるのを防ぎます。水不足の状況では、草の葉はしおれて チューブ状になります。こうすることにより、乾燥した空気に触れる葉の 表面面積を減らしています。他の植物は落葉することで 水を節約し、干ばつに対応しています。しかしながら、葉を利用した 節水戦略は、光合成も 減退させてしまいます。一部の植物は、近隣で 干ばつの影響を受けた 植物が放出する 化学信号に応答して、差し迫りつつある より深刻な干ばつに 対応する準備を始めます。一方、水が多すぎると 土壌に含まれる 空気が少なくなり、細胞呼吸に必要な 酸素の量が制限され、植物が窒息する 場合があります。植物の中には 水の多い環境で 生育できるよう、構造的に 適応したものもあります。例えば、マングローブ 種の多くは、通気根と呼ばれる 空気を通す特別な 根を持ち、そこから 酸素を得ています。このような適応を 持たない植物は 浸水した土壌では 酸素欠乏状態となり、根皮質の細胞の 一部が死滅します。このプロセスによって 空気管が形成され、浸水した根に酸素を供給します。深水イネはユニークな イネ品種の植物で、洪水で水面が上昇すると 葉が水中に沈まないよう 背を伸ばします。深水イネが浸水すると、植物ホルモンの エチレンが蓄積し、ジベレリンと呼ばれる ホルモンの生成が 増加します。ジベレリンは植物の 垂直成長を促します。農業家はこのようなストレス耐性 を持つ作物を発達させて 気候の変動と予期せぬ 気象状況に対応しながら 需要を満たさなければなりません。