DNAが複製されるとき,ヌクレオチドは通常 相補的な配列で新しい鎖の 核酸へと付加されます。アデニンがチミンに結合し シトシンがグアニンに結合します。しかしながら、ヌクレオチドは誤って対合することがあります。たとえば,アデニンがシトシンと結合してしまいます。こうしたエラーは,DNA合成酵素であるDNAポリメラーゼによって 実行される一連の修正ステップによって、複製中に防止,修正 することができます。まず,DNAポリメラーゼは 正しく対になったヌクレオチドに対し より高い親和性を有し,誤った対合の可能性を減らします。次に,ヌクレオチドが核酸と対を形成し始めると,DNAポリメラーゼの立体構造が変化し,誤って対を形成したヌクレオチドを より解離させやすくします。正しいヌクレオチドが付加することを可能にします。そして,誤ったヌクレオチドが 成長しているDNA鎖に付加されたとしても,構造上の問題から,核酸とは 正しく対合しません。成長鎖の3’末端での 誤った対合は,DNA合成を一時停止させます。そして,3’末端は,DNAポリメラーゼ上の特定のエキソヌクレアーゼ部位に移動し、3’から5’方向のヌクレオチドを 除去します。このエキソヌクレアーゼ修正工程において,誤った対合末端は除去され,正しいヌクレオチドによって置換されます。