植物は土壌から水と 溶存する無機塩を吸収し、遠く離れた 組織まで 輸送しています。吸収された資源は次の2つの経路から 植物内に入り、移動します。アポプラストとシンプラストです。アポプラストとは、細胞壁、細胞間の隙間など、連続する細胞外空間の 部分を指します。水、気体、無機塩は 細胞膜を通過することなく、アポプラスト内を自由かつ 受動的に移動できます。植物細胞はpHの 変化に応じて、アポプラスト内に陽子を 過剰に放出します。さらに、根のアポプラストに 入った化学物質は、毒素と結合して排泄する 分子の分泌を引き起こす 場合もあります。植物細胞の細胞質も シンプラストと呼ばれる もう一つの連続したシステムを 形成しています。隣接する細胞は チャネルによって 結びついており、水や小さな分子は 隣の細胞へ移動することができます。相互に結び付いた 植物細胞の連続体が、ホルモンなどの シグナル分子の 輸送を容易にしています。例えば、植物ホルモンの サイトカイニンは シンプラストを自由に 移動して、細胞増殖を 制御しています。シンプラストは、植物病原菌に 対する防御応答を引き起こす 小さなRNAの導管の 役割も果たしています。資源は通常、アポプラストと シンプラストの両方の 経路を通って植物内を移動します。例えば、根から吸収された 無機塩が根を離れて 他の植物組織へと 移動するためには、少なくとも1度は 選択的透過性膜を 通過しなければ なりません。