原子の軌道は クーロン相互作用 遮蔽効果 軌道貫通によって 合理化されたように 異なるエネルギーを持っています クーロンの法則は 2つの荷電粒子間の 引力や反発力は 粒子間の距離と逆二乗の 関係にあることを示しています 原子の軌道サイズは 殻数が多いほど大きくなり 電子は殻数の 少ない軌道が占める空間から 反発します このように クーロンの法則は 殻数が増えると電子が原子核に 引きつけられる力が弱くなり 軌道エネルギーが高くなることを 示唆しています さらに 原子核からの距離が 同じか近い電子は 遮蔽効果を持ち 原子核への引力を さらに低下させます 遮蔽効果が大きいほど 原子核への引力は弱くなります これが 電子殻内の 軌道エネルギーの違いの 理由の一つです 例えば 3s電子と 3p電子は3d電子を 大きく遮蔽しています 電子が感じる実効核電荷は 原子番号から遮蔽電子の数と 遮蔽電子が占める 殻の数に依存する 遮蔽定数Sを 差し引いて計算されます 例えば 原子番号が 3のリチウムでは 2個の1s電子が その2s電子を遮蔽しています その電子の遮蔽定数は 半経験則から 1.7と決定されます したがって 2s電子が 感じる実効核電荷は 1.3となります 軌道の形状もまた そのエネルギーを決定する 外側軌道の電子が 内側の電子が占有する 領域にまで遠く移動して 核に近づくことができれば そこでは遮蔽されにくくなります そのため その外側の軌道の エネルギーは低くなります このことは 原子核から ある距離にある電子が 見つかる確率を表す 放射状分布関数を使って 可視化することができます 1s 2s 2p部分殻の 放射状分布関数をプロットすると 2sの電子が核の近くに 存在する確率はわずかですが 2pの電子はほとんどが 1s領域の外側か外縁に とどまっていることがわかります そのため 2s軌道の方が 貫通力が高いと言われています 第3殻では 3s電子が 最も透過し 3d電子が最も透過しません 一般に 原子軌道のエネルギーは 殻数が多いほど大きくなり 殻下レベルでは sからfまで大きくなります しかし 第4殻と第5殻では 透過効果が非常に大きくなり 4sと5sの軌道は それぞれ3dと4dの軌道よりも 低い相対エネルギーを持つことが よくあります