植物細胞には 硬い細胞壁があり、細胞の形と等張を 維持する役割を担っています。しかし、このバリアによって 細胞間のコミュニケーションも 阻害されてしまいます。この問題を解決するため、植物細胞は 原形質連絡ーと言う小さな チャネルを通して、細胞間コミュニケーションを行っています。原形質連絡にあいた穴は、隣接する細胞の原形質膜が 繋がってできています。原形質連絡の中心には デズモ小管と呼ばれる、小胞体(ER)から伸びた 組織があり、隣接する細胞を 繋いでいます。細胞質基質が 2つの細胞間を 流れています。このように、原形質連絡によって 原形質基質の 連続したネットワーク、シンプラストがつくられているのです。デズモ小管は チャンネル内を通って 細胞質スリーブを 形成します。細胞質スリーブは 拡張や縮小することができ、原形質連絡の 浸透性を制御します。例えば、正常な環境では、水と糖分やイオンなどの 小さな分子は細胞間を 自由に行き来することができます。しかし、分子が通過できる 細胞間隙が ほんのわずかでもあれば、デズモ小管はギュッと きつく閉じます。より大きな分子ー 小さなRNA、転写因子、その他の 細胞質タンパク質などーの 交換は厳しく制御されています。多糖類カロースが 蓄積することによって 細胞壁の開口部が 狭くなり、大きな分子の 流入が阻止されます。カロースが分解されると、開口部が広がり、高分子が原形質連絡を 通過できるようになります。さらに、カロースの蓄積によって すべての分子の移動を 停止することもできます。この仕組みは、チャネルを通って 隣接する細胞に感染する 植物ウイルスの移動を 阻止する場合などに役立ちます。原形質連絡の2通りの 方法で形成されます。一次原形質連絡は 細胞分裂の初期段階で 形成され、壁孔域と呼ばれる クラスターの中に 集まっています。二次原形質連絡は さらに後の段階で 既存の細胞間に形成されます。最後に、原形質連絡は シンプラスとから隔離する 必要がある場合など、細胞の必要性に応じて 退化させることができます。