根から土壌から吸収した 栄養素と水は 植物全体の様々な 組織に分配されます。同様に、光合成の生産物も 貯蔵機能のある細胞まで 植物内を移動 しなければなりません。この移動はエネルギーを要する プロセスで、多くの細胞の細胞壁、細胞膜、そして細胞質を 通り抜ける必要があります。植物には溶質を輸送する 経路が3種類あります。アポプラスト経路を 経由した輸送は 細胞壁を含む、細胞外空間で行われ、シンプラスト経路を 経由した輸送は 隣接する細胞同士の 細胞質を直接 繋ぎ合わせている 原形質連絡を通して行われます。3つ目の経路、細胞横断経路は 細胞膜を通して 細胞に物質を 出し入れします。物質が細胞膜を通って 何度も移動する場合、2、3個の細胞であれば 十分に速く移動できますが、より長い距離を移動する場合は 大幅に遅くなります。植物細胞の細胞膜を 通した物質の輸送は、動物細胞と似ている 点があります。選択的透過性 を持つ細胞膜は、二酸化炭素や 酸素のガスなど、特定の物質を 濃度の高い場所から 低い場所へと 浸透させることで、受動的に 透過させます。その他の物質、イオンや糖などの 大きな分子は、その 荷電性やサイズから 細胞膜を透過できません。その代わり、細胞は イオンチャネル、輸送タンパク質などの 特別な膜タンパク質を使って これらの物質を能動的に輸送します。プロトンポンプはATPからの 化学エネルギーを使い、細胞膜を通して 水素イオンの 電気化学的勾配をつくります。植物の輸送器官の多くは この水素イオン勾配を利用して 資源を細胞内に取り込みます。例えば、根にある 硝酸トランスポーターは 1個の水素イオンで 1個の硝酸イオンを輸送します。この輸送は、硝酸イオンの 濃度勾配に関係なく行われます。