ホルモンは、その化学構造から、ステロイド系、ペプチド系、アミン系の3種類に大別され、それぞれが標的とする細胞の受容体に結合することで作用を発揮します。
ステロイドホルモンは、コレステロールに由来し、親油性であるため、脂質の多い細胞膜を容易に通過して、細胞質や核にある細胞内受容体に結合できます。結合した細胞質のホルモン-受容体複合体は、核に移動します。ここで、DNA上の制御配列と結合し、遺伝子の発現を変化させます。
ペプチドホルモンは、アミノ酸が鎖状になったもので、親水性であるため、細胞膜を越えて拡散することができません。その代わりに、標的細胞の表面に存在する細胞外受容体に結合します。この結合により、細胞内で一連のシグナル反応が起こり、最終的にホルモンの機能を発揮することになります。
アミン系ホルモンは、チロシンまたはトリプトファンという一つのアミノ酸を原料とします。この分類のホルモンは、ステロイドホルモンやペプチドホルモンと共通の作用機序を持つという点でユニークです。例えば、エピネフリンとチロキシンは、ともにチロシンというアミノ酸に由来しますが、その作用機序は異なります。エピネフリンは、細胞膜表面に存在するGタンパク質共役型受容体に結合し、細胞質内のセカンドメッセンジャーを活性化することで、細胞に特異的な反応を起こすシグナルカスケードを開始します。
一方、甲状腺ホルモンのチロキシン(T4)は、活性型のトリヨードチロニン(T3)に変換され、細胞膜を越えて運ばれます。細胞内では、甲状腺ホルモンの受容体が核DNAと複合体をなして存在しています。甲状腺ホルモンは、このホルモン-DNA複合体に結合して、遺伝子の発現を変化させます。