細胞内では絶えず生化学反応が起こっており、出発物質をさまざまな反応物へ変換していますが、たいていは反応を促進する酵素の助けを借りています。酵素がなければ、ほとんどの反応が起こるのに長時間を要し、細胞が利用することができません。
酵素は反応速度をコントロールする手助けを行うので、出発物質や、中間代謝物、生成物の適切な量が細胞内で維持されるように、酵素活性は制御されます。過剰な物質生成や枯渇は、細胞や生体の健康に悲惨な結果をもたらしうるのです。
フィードバック阻害と呼ばれる制御プロセスでは、反応の生成物が、それを生成した代謝経路の初期段階にある酵素を阻害します。生成物は、基質と結合する活性部位とは異なる、酵素の調節部位に結合することで、自身と同じ生成物の生成を遅らせたり、停止させます。生成物が調節部位に結合すると、酵素の構造が変化し、基質との結合が阻止されて、その触媒反応が継続しないようにします。
これにより、細胞内で高濃度の生成物が過剰に蓄積されるのを防ぐことができます。生成物の量が十分に減ると、生成物による酵素の阻害はなくなり、通常通りの反応が進むようになります。