細胞膜(原形質膜)は刻々と変化する風景です。リン脂質二重層にさまざまな高分子が埋め込まれているため、流動モザイクとして説明されます。高分子の中にはタンパク質が含まれます。タンパク質の含有量は、細胞の種類により異なります。例えば、ミトコンドリアの内膜には約76%のタンパク質が、一方でミエリンには約18%のタンパク質が含まれます。個々の細胞は多くの種類の膜タンパク質を含み(例: 赤血球は50種類以上)、異なる細胞種では別個の膜タンパク質集団が存在します。
膜タンパク質の機能は多岐にわたります。例えば、物質を輸送するチャネルやキャリア、代謝を担う酵素、また化学的伝達物質に結合する受容体などです。
膜脂質と同様に、ほとんどの膜タンパク質は、親水性(水を好む)部位と疎水性(水を嫌う)部位を持ちます。親水性部位は、細胞内外両方の水を含む溶液に露出し、疎水性部位は膜二重層内のリン脂質の疎水性尾部に面します。
膜タンパク質は、細胞膜に埋め込まれているか(内在性)、細胞膜と連合しているか(周辺)により分類されます。
多くの内在性膜タンパク質は膜貫通型で、リン脂質の両層を横断して膜全体を覆っています。内在性膜タンパク質の疎水性領域は、膜の両側に伸び、細胞質と細胞外溶液に接します。その疎水性部位領域は、コイル状のアミノ酸群(α-ヘリックスまたはβ-バレル)で構成されます。単地性の内在性膜タンパク質は、膜の片側だけに付着しています。
周辺タンパク質は、リン脂質二重層に埋め込まれておらず、疎水性のコアにも進出しません。代わりに、一時的に膜の外側や内側の表面に接着し、内在性膜タンパク質やリン脂質と結合しています。
細胞の外表面から伸びる膜タンパク質は、しばしば糖鎖を持ち、糖タンパク質を形成します。糖タンパク質の中には、他の細胞の膜タンパク質に認識される「IDタグ」として機能することで、細胞間認識を促進するものもあります。