栄養段階伝達効率(TLTE、Trophic Level Transfer Efficiency)とは、ある栄養段階から次の段階へのエネルギー伝達の総量を示す指標です。代謝熱としてエネルギーが大量に失われるため、元のエネルギーの平均10%しか次の階層に伝えられないです。このようなエネルギー損失のパターンは、食物連鎖における栄養段階の可能な数を大きく制限します。
熱力学の第二法則に従い、大量のエネルギーが生態系から失われ、ある栄養段階から次の段階へと伝達され、変換されます。生物システムでは、このエネルギーは、ある生物が次の生物を消費する際に、呼吸中の代謝熱として失われます。ある栄養段階から次の段階へのエネルギー伝達の測定は、栄養段階伝達効率(TLTE)として知られており、現在の栄養段階のエネルギー生産と前の段階のエネルギー生産の関数です。この測定は、食物連鎖の全長に関わる幅広い意味を持っています。
一般的に、ある栄養段階から次の栄養段階に移行するエネルギーは10%程度で、生態系によっては5~20%程度になることもあります。つまり、得られたエネルギーの90%が各栄養段階で失われ、生態系の可能な最大レベル数に大きく影響します。例えば、ある生態系が太陽から60万Kcalの太陽エネルギーを受け取った場合、一次生産者は6万Kcalだけを草食動物に渡し、草食動物は6,000Kcalだけを二次消費者に渡し、600Kcalを三次消費者に渡し、60Kcalを食物連鎖の頂点である四次消費者に渡すことになります。一日平均2000Kcalを必要とするオオカミのような頂点捕食者が、一日に必要なカロリーを満たすためには、非常に多くの二次・三次消費者を消費しなければなりません。