結合が非極性共有結合であるか極性共有結合であるかは、結合する原子の電気陰性度という性質によって決まります。
元素の電気陰性度は、20世紀を代表する化学者の一人であるライナス・ポーリングによって提唱されました。ポーリングは、水素とフッ化物のような異核分子の結合を切るときに必要なエネルギーを調べました。その値から、結合を切るのに必要なエネルギーは、H2の結合エネルギー(436kJ/mol)とF2の結合エネルギー(155kJ/mol)の平均値、すなわち296kJ/molになると提唱しました。しかし、実験的に得られたHFの結合エネルギーは565kJ/molであり、予測値よりもはるかに高い値でした。この違いを説明するために、ポーリングは、その結合が、電子陰性度の概念によって決定されるイオン的な性質を持たなければならないと提案しました。
電気陰性度とは、原子が自分の方に電子を引き寄せる性質(電子密度)を示す指標です。
電気陰性度は、結合している2つの原子の間で共有される電子がどのように分配されるかを決定します。電子を引き付ける力が強いほど、その原子の電気陰性度は大きいです。極性共有結合の電子は、電気陰性度の高い原子の方に移動するため、電気陰性度の高い原子が部分的に負電荷を持つことになります。電気陰性度の差が大きいほど、電子分布の偏りが大きくなり、原子の部分電荷が大きくなります。
電気陰性度と電子親和力を混同しないように注意してください。元素の電子親和力は、測定可能な物理量です。それは、すなわち、孤立した気相原子が電子を獲得する際に放出または吸収されるエネルギーであり、単位はkJ/molです。一方、電子陰性度とは、原子が結合の際にどれだけ強く電子を引きつけるかを表します。これは大きさのない量で、測定ではなく計算で求められます。ポーリングは、さまざまな種類の結合を切断するのに必要なエネルギー量を比較することで、最初の電気陰性度の値を導き出しました。彼は、0から4までの任意の相対尺度を選びました。
本書は 、 Openstax 、 Chemistry 2e 、 Section 7.2 Coalent Bonding から引用したものです。