発生神経科学は、初期胚の段階から成人期に至るまでの神経系が形成される過程を研究するための学問です。神経前駆細胞は増殖、分化、遊走、成熟という一連の流れをたどることは知られていますが、その進行を制御するメカニズムは完全には明らかになっていません。発生研究は複雑な構造がどのように作られていくのかを解明するだけではなく、発達障害の診断と治療にも貢献します。組織傷害後の回復プロセスは発生過程に類似しているため、発生神経学研究を行うことで神経系の再生メカニズムの解明にもつながる可能性があります。
このビデオでは、発生神経学分野の概要を解説しています。初期の神経組織形成を調べた研究から細胞がニューロンの各組織へと変化していくメカニズムの研究に至るまで簡単な歴史を学ぶことができます。その後は、発生神経学研究の主な研究内容とそれを進めるために利用される研究ツールをトピックとし、最後に今日の発生神経研究例を紹介しています。生きた胎児の脳に遺伝子操作を加える実験や神経幹細胞の分化の実験、またニューロン間のネットワーク形成において染色を利用した定量実験などをご覧いただけます。
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