植物の形態形成には、成長や細胞分化など、いくつかの過程が重なり合っています。前駆細胞が特定の種類の細胞に分化し、それらが組織や器官系に編成されて、機能的な植物が形成されるのです。
植物の成長と細胞分化は、複雑なホルモンの制御下にあります。植物ホルモンは、多くの場合、環境刺激に応じて遺伝子の発現を制御します。例えば、多くの植物は花を咲かせます。茎や根と違って、花は一生成長し続けるわけではありません。花を咲かせるためには、分裂して新しい組織を形成する細胞がある植物の領域、すなわち分裂組織のアイデンティティが変化することが必要です。
内部のシグナルに加えて、温度や日長などの環境のシグナルにより、子実体遺伝子が発現し、茎頂部の子実体が花序部の子実体へと変化します。
花序分裂組織は、花芽分裂組織を作り出す。花芽分裂組織の細胞は、その半径方向の位置に応じて、萼、花弁、雄しべ、雌しべのいずれかの花器官に分化しますが、これは器官識別遺伝子の発現を決定します。
ABC仮説とは、花の4つの器官は、A、B、Cという3つのクラスの器官同一性遺伝子の指示のもとに形成されるというものです。Aの遺伝子だけが発現すると、がく片が形成されます。C遺伝子だけを発現させると、雌しべができます。BとC遺伝子を共発現させると雄しべができ、AとB遺伝子を共発現させると花弁ができます。
以上のことから、開花をはじめとする植物の形態形成には、複数の発生過程が重なり合っていることがわかりました。