味を感じ取る味覚は、香りを感じ取る嗅覚と連動して働きます。味を感じるためには,まず刺激が唾液に溶け,舌の乳頭全体に広がる必要があります。ほぼすべての種類の乳頭には,頭蓋神経の枝によって神経支配された 感覚細胞の束である味蕾がついています。塩味のチョコレートキャラメルでは、塩味、さらには酸味が感じられますが,それは感覚細胞にイオンチャネルがついているからです。例えば,塩のナトリウムは,特定の細胞型にあるナトリウムチャネルを通過し,そして細胞内で 活動電位を開始させます。活動電位は感覚細胞を伝って 神経に伝わります。神経は味覚情報を視床に伝え、次に味覚がある 脳内の味覚皮質に伝えます。多くのキャラメルが溶けると,甘味、旨味、さらには苦味さえ感じられます。こうした味は,Gタンパク質共役型受容体である 化学受容体に結合し、セカンドメッセンジャーシグナル伝達機構を活性化する 様々な複雑な化合物からくるものです。例えば、砂糖中のカルボニル、旨味をつかさどるアミノ酸である グルタメートのような官能基は,味覚受容体のうちのひとつに結合します。味覚受容体のなかには,カカオに含まれるアルカロイドのような 200以上の異なる苦味分子を結合して検出するものもあります。各風味に特異的な味覚受容体は、特定の領域内に 偏っているわけではなく,舌全体の味蕾上に分布しています。